このニュースに注目しています。セクハラやパワハラというと会社や学校などの「組織内の上下関係」の上に発生すると思われがちですが、企業と就活生のように直接の上下関係ではなくても「選考する側」「される側」という立場上の強弱によりハラスメントが発生する場合は多くあるからです。大学でも同じで、一つの大学の中だけではなく、別の大学の教員などから学生や若手研究者がセクハラを受けたというケースをちらほら聞きます。別大学であれば直接の上下関係は生じませんが、指導教員の共同研究者であったり、学会で顔が利く有力者と求職中のポスドクという関係であったりすれば事実上、立場の上下が発生することになります。また中には、自学の学生に手を出せば問題になりやすいので、意図的に他学の人間を狙うケースもあるようです。
企業に就活生という「外部者」に対するセクハラ防止が義務付けられるのであれば、大学に対しても他大学の学生や若手教職員、あるいは外部共同研究者等に対するハラスメント防止を義務付けることもできるのではないでしょうか。それまでの間、学会などで「学外セクハラ」に対する啓発活動や研修をすることはできないかと考えています。学会はアカデミックポストを目指す学生には就活の場でもありますから、そこでセクハラ防止に努めることは今企業に要求されていることとまったく同じです。